武夷岩茶は、沸騰したお湯と茶葉の個性を引き出す茶器を組み合わせることで、本来の「岩骨花香」を楽しむことができます。
茶器の選び方
武夷岩茶に向いている茶器は、主に二種類あります。
ひとつは磁器製の蓋碗(がいわん)。磁器の釉薬はお茶の素の味をそのまま映し出すため、雑味も本来の風味も隠れません。お茶の品質を確かめたいときに最も信頼できる道具です。条索状の茶葉は、入れる前に軽く砕いてから六〜七分目まで入れると、お湯との接触面が増えて味わいが引き出しやすくなります。
もうひとつは朱泥壺(しゅでいこ)。焼成温度が高く、きめ細かな土質が武夷茶の繊細な香りをより豊かに引き出します。壺の形は平たいものが適しており、縦長や球形のものは壺底にお湯が残りやすく、酸味や渋みが出やすいため避けたほうが無難です。
飲み口となる茶杯は、薄手の磁器製がおすすめ。保温性はやや劣りますが、茶湯が少し冷めることで、岩茶の内に秘めた香りがより開きやすくなります。
淹れ方
お湯は必ず沸騰させてから使います。注ぐときは高い位置から細く注ぐ「高沖(こうちゅう)」の手法で、茶葉をしっかり動かし、岩韻を引き出します。
一煎目は蓋を軽く乗せて待ち、二煎目からは蓋で茶葉をそっと押さえると、味の出がよくなります。良質な武夷岩茶は五煎以上楽しめ、上質なものは「八煎しても余香あり」と言われます。
最後の一煎を飲み終えたら、ぜひ蓋を外して茶殻の香りを嗅いでみてください。良いお茶は冷めても、静かで涼やかな香りが残ります。
茶器・お湯の温度・茶葉の量、この三つが揃って初めて岩韻は現れます。道具選びから、ぜひ丁寧に。
