良質な武夷岩茶は少なくとも五煎以上楽しめます。上質なものは「八煎しても余香あり」と言われ、大紅袍にいたっては「九煎経っても本来の味が失われない」とも伝えられています。耐久性の高さは、武夷岩茶の品質を測る重要な指標のひとつです。

なぜ武夷岩茶はこれほど耐煎性が高いのか

武夷岩茶の耐煎性は、茶葉そのものの充実度と、丁寧な製造工程に由来します。正岩茶は岩峰の石の隙間に育ち、根が岩壁の奥深くまで伸びて豊富なミネラルを吸収するため、葉に内含物質がしっかりと蓄積されています。さらに炒青・揉捻・繰り返しの焙煎という工程が茶質をしっかりと閉じ込めるため、何煎にもわたって滋味が持続します。

一方、半岩茶や洲茶は内含物質が少なく、二、三煎で味が薄くなることが多いです。耐煎性の差は、正岩茶と他の等級を見分けるもっとも分かりやすい方法のひとつといえます。

煎ごとに変わる味わい

武夷岩茶の魅力は、煎を重ねるごとに変化する層次にあります。一煎目は香りの高さと有無を確認し、二煎目は香りの種類を判別し、三煎目は香りの持続性を感じ取ります。煎を重ねるにつれ、茶湯の味わいは濃厚でまろやかなものから、清らかで長く続く甘みへと変化していきます。後半の煎では岩韻がより落ち着いた深みを帯び、じっくりと余韻を楽しめます。

香りを楽しむ際には「三口気」という作法があります。鼻だけで嗅ぐのではなく、茶湯から立ち上る香りを口から吸い込み、鼻から三度ゆっくりと呼び出すことで、各煎の香りの微妙な変化をより細やかに感じ取ることができます。

最後の一煎の後は、茶殻を確かめて

最後の一煎を飲み終えたら、ぜひ蓋を開けて茶殻の香りを確かめてみてください。良質な岩茶は冷めた後も、静かで涼やかな香りが茶殻に残ります。香りがまったくない、あるいは籠もったような異臭がする場合は、品質が低いお茶のサインです。

耐煎性は、岩茶が飲み手に示す、もっとも正直な答えです。

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