武夷岩茶は飲み始めに確かに苦みを感じますが、良質な岩茶の苦みはすぐに消え、長く続く甘みへと変わります。これこそが岩茶の品質を測る重要な指標のひとつです。
苦みは岩茶の入口であり、終わりではない
武夷岩茶の苦みは、茶葉に含まれるタンニン成分によるものです。最初は舌の上に軽い苦渋みを感じますが、品質の高い正岩茶であれば、その苦みは喉を通る間に素早く変化し、清々しい甘みとなって広がります。口の中には自然と唾液が湧き、じんわりと満たされるような感覚が続きます。
古人はこの過程をこう表現しています。飲み込むときは滑らかで生き生きとした感触があり、最初こそ茶の苦渋みがあるものの、その後は次第に生津し、甘く心地よい味わいに変わると。苦みが甘みへと転じる、この一連の流れこそが岩茶の真髄です。
一方で、苦みがいつまでも残り渋みに変わるようであれば、それは半岩茶や洲茶に多く見られる特徴で、正岩茶が持つ「苦を甘に転じる力」が弱いことを示しています。
焙煎の度合いも苦みに影響する
武夷岩茶の苦渋感は、焙煎の程度によっても変わります。しっかり焙煎された岩茶は糖のような甘い香りがあり、口当たりがまろやかです。焙煎が足りないと青草のような香りが残り、苦渋感が比較的強く出ます。飲んだときに炭の焦げた味ばかりが口に広がり、潤いだけを感じるようであれば、焙煎しすぎて炭化した品質の低いお茶である可能性が高く、岩韻はほとんど感じられません。
淹れ方も苦みを左右する
茶葉を入れすぎたり、浸出時間が長すぎたりすると苦渋感が強くなります。武夷岩茶は高温で短時間、素早く注ぎ切ることが基本です。そうすることで、苦から甘へと移り変わるリズムが自然と生まれます。
苦みは武夷岩茶を知るための最初の関門です。その先に広がる甘みと躍動感こそが、岩茶本来の魅力です。
