大紅袍は武夷岩茶の中でもっとも名高い品種で、「茶王」とも称されます。福建省・武夷山の天心岩、九龍窠の岩壁に自生する母樹から生まれたお茶です。

断崖に育つ、世にも稀なお茶

大紅袍の母樹はわずか六株。地上から約九メートルの岩壁の隙間に根を張り、朝は陽光を受け、午後になると岩に遮られて直射日光を避けられる、絶妙な環境に育ちます。岩肌を伝う山水が砂質の土壌をほどよく潤し、他では再現できない「岩韻」を生み出しています。

母樹からの年間収穫量は一斤にも満たないほど。1972年のニクソン訪中の際、毛沢東が四両の大紅袍を贈ると、周恩来は「すでに半壁江山をお渡しした」と笑って語ったと伝えられています。1997年の香港返還時には、江沢民がわずか四両を贈り、そのうち二十グラムがオークションで三万香港ドルという高値をつけました。

今買える大紅袍とは?

1985年に人工による無性繁殖が成功し、母樹の枝から育てられた品種は「北斗一号」と名付けられました。1994年には福建省科学委員会の鑑定により、人工繁殖品種が母樹と同等の品質と岩韻を保つと認定されています。現在市場に流通している大紅袍の多くは、この繁殖茶樹から作られたものです。

2002年からは「武夷山大紅袍」が中国国家工商総局の証明商標として正式登録され、武夷山の行政区域外での使用は認められていません。

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