文山包種茶の産地は、台北盆地の東南に位置する新店・坪林・石碇・深坑・汐止の五つの郷鎮にまたがっています。この一帯はかつて文山行政区として一つにまとめられており、台湾を代表する包種茶の産地として知られています。
「文山」という名前の由来
この五つの産茶地域は、清代にはいずれも文山行政区に属し、日本統治時代には「文山堡」と呼ばれていました。この地で作られるお茶はまとめて「文山茶」と称され、包種茶として広く知られるようになりました。光緒二十年(1894年)、地元の有力者たちが「拳山」という地名を雅でないと感じ、「文山」への改名を申請しました。この名前は現在まで受け継がれ、この産茶地域を象徴する呼び名となっています。
手摘みが生む繊細な品質
文山地区の茶農家と茶商は、長年にわたって高級茶の製造を目標に掲げてきました。摘み取りはすべて手作業で行われ、機械に頼らないことで繊細な品質が保たれています。主な栽培品種は青心烏龍で、青心大有や大葉烏龍なども使われます。坪林の茶農家は「香・濃・醇・韻・美」の五文字で、文山包種茶の個性を誇りを持って表現しています。
移民開拓の歴史が育てた茶どころ
文山地区の開発は、清代中期にさかのぼります。福建省安渓からの移民が淡水河をさかのぼって新店渓へと入り、景美渓沿岸を開墾し、茶業を生業とする集落を形成していきました。嘉慶十七年(1812年)には正式に拳山堡の管轄に組み込まれ、公館街・渓仔口庄・木柵庄などの地域を含むようになりました。この土地が育んだ深い茶業の根が、後の文山包種茶の発展を支えています。
文山の産地としての歴史を知ると、この土地が育てた包種茶が、どんな味わいと個性を持っているのか、自然と気になってきます。
