高山茶と聞くと、多くの人は「高ければ高いほど良い」という印象を抱くだろう——雲霧に包まれた山頂が、最も貴重な茶葉を育むと。ところが福建省安渓では、地元の茶農家たちが全く異なる知恵を持っている。山地は茶栽培に適しているが、山全体が茶に向いているわけではない。彼らの結論は意外なものだ——山腹が最良で、山麓がそれに次ぎ、山頂はむしろ茶栽培に不向きだというのだ。
この常識を覆す考え方は、地理環境を長年にわたって観察し実践してきた結果から生まれたものである。
山腹:排水・日照・通風の黄金地帯
『安渓茶葉之調査』には、山腹に茶を植えることが最も理想的だと明記されている。その理由は、山腹が三つの優位性を持つからだ。排水が良好で、日照が十分で、通風が良い。
山腹の地勢は絶妙なバランスを保っている。雨水が溜まらず、速やかに排出されるため、茶樹の根が長期間湿った土壌に浸かることがない。十分な日照時間により、茶葉は良好な光合成を行い、豊富な内含物質を蓄積できる。そして山腹の通風条件は、茶樹を乾燥した状態に保ち、病虫害の発生を減らす。
さらに興味深いのは、山腹で栽培された茶には識別方法があるということだ——淹れた後の茶殻が淡い黄色を呈する。山腹以外で栽培された茶は、茶殻が黒ずみやすい。この簡単な観察が、茶農家が茶園の位置を判断する経験則となっている。
山麓:低地で水が溜まり、病虫害が多い
山麓、つまり山裾の地帯でも茶は栽培できるが、条件は山腹には遠く及ばない。地勢が低いことが最大の問題だ——排水が悪く、水が溜まりやすい。茶樹が長期間過度に湿潤な環境に置かれると、根系が腐りやすく、生育に影響が出る。
また、山麓は風を受ける時間が短く、通風が相対的に不良である。空気の流動が不足すると湿気が抜けにくく、このような環境は特に病虫害が発生しやすい。茶農家は茶園の管理により多くの労力を投じ、病虫害の防除に当たらねばならず、コストとリスクが相対的に高まる。
そのため、山麓でも茶は栽培できるが、生産される茶葉の品質はしばしば山腹の茶園に劣る。これが安渓の茶農家が山麓を次善の選択肢とする理由である。
山頂:雲霧が重すぎて、香りに影響
最も意外なのは、「山頂は茶栽培に不向き」という結論だろう。一般的には、茶は深山の雲霧に包まれた場所で栽培すべきだと考えられているが、安渓の茶農家の観察はこれと正反対だ。
山頂、つまり山のてっぺんは確かに雲霧が濃いが、これがかえって問題となる。雲霧が重すぎると茶葉の香りの発展に影響を及ぼす。茶樹は光合成のために十分な日光を必要とするが、過度の雲霧が日光を遮ることで、茶葉の内含物質の蓄積が不足し、香気が十分に展開できなくなる。
この考え方は一般的な認識とは大きく異なるが、まさに安渓の茶農家が長年の実践を通じて得た経験である。彼らは、適度な雲霧は良いが、過度の雲霧はかえって茶葉の品質を損なうことを発見した。山腹の雲霧は程よく、湿潤な環境を提供しつつも日光を過度に遮ることがない。これこそが最も理想的なバランスなのだ。
地理的知恵:土地に応じた茶園選択
安渓の茶農家の茶園位置選択には、土地に応じた知恵が表れている。彼らは盲目的に「高山」というラベルを追求するのではなく、実際の排水、日照、通風条件に基づいて判断する。この実践的な姿勢が、安渓茶区において安定して高品質な鉄観音を産出することを可能にしている。
『安渓茶葉之調査』は古い著作だが、そこで調査された「地の利」に関する問題は、今日でもそれほど変わっていない。地理的位置や標高の違いが品質の変動要因となる。これこそが茶の奥深さであり、学び続ける原動力となるのだ。
次に鉄観音を一杯味わうときには、考えてみてはどうだろう。この茶葉は、山腹、山麓、それとも山頂から来たものなのか?その一口の茶湯の中には、風味だけでなく、茶農家が代々積み重ねてきた地理的知恵が込められているのである。
