お茶好きの方が茶葉を選ぶ際、「烏龍茶」と「包種茶」という名称に戸惑った経験はありませんか?どちらも台湾産の半発酵茶なのに、なぜ異なる呼び方なのでしょうか?そして本当に味や香りに違いがあるのでしょうか?

実はこの2つのお茶は元は同じ系統で、どちらも半発酵茶に分類されます。ただし、製茶技術や市場での位置づけの違いにより、それぞれ独自のスタイルへと進化してきました。

本記事では、製茶法・見た目・抽出方法・香りの違いなどを詳しく解説し、両者の風味の見分け方をお伝えします。

製茶学から見た本質的な違い

茶の学術分類では、烏龍茶と包種茶はどちらも「青茶」=半発酵茶に属します。しかし台湾茶の発展において、製法の違いから半発酵茶はさらに3タイプに分類されました:条形包種茶、半球形包種茶、台湾烏龍茶(椪風茶)。

条形包種茶は現在の「包種茶」にあたり、軽い萎凋と発酵によって茶葉は細長く、発酵度は約8~12%です。

半球形包種茶は現在の「烏龍茶」にあたり、半球状にしっかり揉み込まれています。発酵度はかつて15~30%でしたが、現在では8~12%の軽発酵が主流です。

この製茶の違いが外観・香り・味わいに大きく影響します。

外観と香りの明確な違い

包種茶は細長い形を保ち、乾いた茶葉は深緑色で、ほのかな花の香りがします。抽出すると蜜緑色の茶湯になり、淡く爽やかな香りと甘く優しい味わいが広がります。

烏龍茶は半球形に揉み込まれており、色は包種茶よりも濃いめ。昔の高発酵タイプでは金色の茶湯と濃厚な果実香がありましたが、現代の工法では蜜緑色の茶湯と花の香りに変化しました。それでも香りは包種茶より濃厚で多層的です。

これは「覆炒団揉」という製法によるものです。

高山茶園による品質革命

台湾の茶園は、かつての海抜600〜800メートルから1,000メートル以上の高山へと移動しました。これにより「高山烏龍茶」という名称が生まれ、茶の品質も飛躍的に向上しました。

高山の冷涼で霧が多い気候は、茶葉の成長をゆっくりにし、アミノ酸や香気成分が多く蓄積されます。これにより台湾独自の「山頭気」と呼ばれる風味が生まれます。

これは台湾烏龍茶が他の産地では真似できない、国際市場での競争力の源です。

見分け方と選び方

外観:包種茶は細長く、鮮やかな緑色。烏龍茶は半球状で色が濃い。

香り:包種茶は花の香りが軽やかで上品。烏龍茶は濃厚で複雑な香りを持つ。

茶湯:どちらも蜜緑色だが、烏龍茶の方が味が濃い傾向があります。

高山茶を購入する際は、産地の明記に注意し、正真正銘のものを選びましょう。「山頭気」は他では再現できない唯一無二の特徴です。

結論

烏龍茶と包種茶は、どちらも台湾が誇る半発酵茶ですが、製法・形・香りにおいてそれぞれ異なる魅力を持っています。違いを理解することで、より深く台湾茶文化を味わうことができます。

爽やかな包種茶、重厚な烏龍茶。どちらを選んでも台湾の匠の技と豊かな自然の恵みを堪能できます。ぜひ飲み比べて、それぞれの個性を楽しんでみてください。

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