文山包種茶は軽発酵の烏龍茶に属し、台湾北部茶区の代表的茶種です。主要特色は「香、濃、醇、韻、美」五大特点にあり、清雅な天然花香と甘醇滋味で著名で、台湾茶葉中の瑰宝と称されます。
外観と香気特色
文山包種茶の茶葉条索は自然弯曲状を呈し、色沢は墨緑で光沢を帯び、白毫点綴を具有します。最も突出した特色は天然花香で、いかなる花材も添加せずにジャスミンや蘭の花に似た清香を散発できます。この天然花香は文山地区特殊の土壌と気候条件が醸成したもので、早期に薫花製成が必要だった包種花茶とは截然と異なります。
坪林茶農は自豪して文山包種茶が「香、濃、醇、韻、美」五大特色を具有すると称し、これも文山包種茶品質を評判する重要標準となっています。
製作工芸特点
文山包種茶の製作工芸は相当精細で、軽発酵工法を採用し、発酵程度は烏龍茶の約半分で、葉縁にのみ「緑葉鑲紅辺」の特徴を形成します。茶葉辺縁の発酵は葉片に二三ミリしか深入せず、緑茶の清香を保持しつつ、烏龍茶の韻味も帯びています。
萎凋過程中、文山包種茶の水分減少率は烏龍茶より半分少なく、攪拌もより軽柔で、この精細な製作工芸が包種茶独特の品質特色を造就しました。
製茶過程の各環節は至關重要で、採摘、日光萎凋、室内萎凋、炒菁、揉捻から乾燥まで、各段階で製茶師匠の豊富な経験と技術が必要です。特に萎凋段階では、天候変化に応じて処理方式を調整する必要があり、茶農口訣にある「看天做茶」「看茶做茶」の通りです。
茶湯品質と口感
沖泡後の文山包種茶湯は蜜緑または淡黄色を呈し、澄清明亮で琥珀のようです。滋味は甘醇回甘で、清雅な花香韻味を具有し、入口後香気が鼻を穿って過ぎ、余韻が悠長です。
高級文山包種茶の香気は幽雅清香で、飄而不膩、茶湯は円滑新鮮で異味なく、入口生津で活性に富み、落喉甘潤で韻味無窮です。一般人が認識する包種茶「香気のみで、耐泡性なし」という固定観念と異なり、優質文山包種茶は実際には韻味深厚で、多次沖泡が可能です。
産地優勢と地理環境
文山包種茶は主に台北県の坪林、石碇、深坑、新店、汐止等地区で産出され、これらの地区は過去すべて文山行政区に属していたため「文山包種茶」と名付けられました。
産区海抜は約400-700メートル、土壌の多くは紅土で石灰岩成分を含み、水分吸収しやすく、年雨量豊沛、気候温暖潮湿等の適宜条件と相まって、文山包種茶独特の風味特色を造就しました。
その中でも坪林郷の産量が最大で、種植面積約1000ヘクタール、品質も最も著名です。坪林地区の茶園は海抜400メートル以上の山区に分布し、優越な自然環境により産出される包種茶は特殊な山頭韻味を具有します。石碇、深坑等地は産量こそ少ないものの、各々独特な風味特色を持ち、文山包種茶の多元風貌を展現しています。
歴史文化価値
文山包種茶は台湾茶業の百年歴史を承載し、清代から台湾重要茶葉品種でした。南港は台湾包種茶の発祥地で、王水錦と魏静時が1885年に種植栽培を開始しました。
百年余りの発展を経て、文山包種茶は製茶技術の不断精進だけでなく、茶葉比賽等の方式を通じて品質向上を図り、台湾茶文化の重要代表となりました。